源泉徴収票の見方|見るべきは4つの数字だけ

年末から年始にかけて勤め先から渡される「源泉徴収票」。細かい項目がたくさん並んでいて、どこを見ればいいのか分かりにくい書類です。実は、自分の年収・税金・手取りのつながりを理解するだけなら、見るべき数字はたった4つです。この記事では、その4つの数字の意味と関係、社会保険料欄の見方、源泉徴収票を使う場面までまとめて解説します。

最終更新:2026年7月4日

1. 源泉徴収票とは・いつもらう

源泉徴収票は、1年間に支払われた給与と、そこから天引きされた税金の精算結果をまとめた書類です。会社は毎月の給与から所得税を概算で天引きしていますが、年末には年末調整でその年の正しい税額を計算し直します。源泉徴収票は、この年末調整の結果を1枚にまとめたものと考えると分かりやすいです。

多くの会社では、年末調整が終わった12月〜翌年1月ごろに、その年の給与明細とあわせて交付されます。年の途中で退職した場合は、退職後おおむね1か月以内に、その年に支払われた分の源泉徴収票が交付されるのが一般的です。会社によっては紙ではなく、マイナポータルや社内システムを通じた電子交付になっている場合もあります。

毎月の給与明細との関係は給与明細の見方もあわせてご覧ください。源泉徴収票は「1年分」、給与明細は「1か月分」の情報という違いがあります。

2. 見るべき4つの数字

源泉徴収票にはたくさんの欄がありますが、まず押さえておきたいのは次の4項目です。それぞれ「何を表す数字か」を知っておくと、全体の流れがつかめます。

源泉徴収票で見るべき4つの数字
項目名何を表す数字か
①支払金額 1年間に支払われた給与・賞与の合計額。いわゆる「年収」で、税金や社会保険料が引かれる前の額面です。手取り額ではありません。
②給与所得控除後の金額 ①から「給与所得控除」を差し引いた金額。会社員の必要経費に相当するものを概算で差し引いた、税金計算のスタート地点になる金額です。
③所得控除の額の合計額 社会保険料控除(天引きされた社会保険料)、基礎控除、生命保険料控除、扶養控除など、各種控除を合計した金額です。
④源泉徴収税額 その年1年間に納めた所得税(復興特別所得税を含む)の確定額です。毎月の概算天引きを年末調整で計算し直した、最終的な所得税額になります。

実際の様式では②〜④の間にも細かい欄(配偶者控除・扶養親族の数など)がありますが、まずはこの4つの位置と意味を押さえれば、源泉徴収票の大枠は読めるようになります。

3. 4つの数字の関係

この4つの数字は、バラバラに書かれているのではなく、次のような1本の計算の流れでつながっています。

4つの数字のつながり(計算の流れ)
計算内容
①支払金額 − 給与所得控除 = ②給与所得控除後の金額年収から会社員の概算経費(給与所得控除)を引く
②給与所得控除後の金額 − ③所得控除の額の合計額 = 課税所得そこからさらに社会保険料控除・基礎控除などを引いた「課税所得」を出す
課税所得 × 税率 − 控除額 = ④源泉徴収税額(+復興特別所得税)課税所得に超過累進税率(5〜45%)をかけ、復興特別所得税2.1%を上乗せしたものが最終的な所得税額

①から②を出す「給与所得控除」は、年収の水準によって金額が変わります。令和7年分以後は、年収190万円以下なら65万円、190万円超360万円以下なら収入金額×30%+8万円という式で計算されます。たとえば年収360万円の場合、給与所得控除は360万円×30%+8万円=116万円です。この116万円が①から差し引かれて②になります。

給与所得控除の金額は年収の段階ごとに式が変わります。360万円超660万円以下は収入金額×20%+44万円、660万円超850万円以下は収入金額×10%+110万円、850万円超は195万円が上限です(令和7年分以後・国税庁)。

③の「所得控除の額の合計額」には、天引きされた社会保険料(社会保険料控除)に加えて、基礎控除(合計所得金額に応じて58万円〜95万円)、生命保険料控除、扶養控除などが含まれます。控除が大きいほど課税所得が小さくなり、結果として④の源泉徴収税額も小さくなる、という関係です。

4. 「社会保険料等の金額」欄

源泉徴収票には「社会保険料等の金額」という欄もあります。これは1年間に給与から天引きされた社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料など)の合計額です。前項の③所得控除の額の合計額に含まれる「社会保険料控除」の内訳にあたります。

目安として、月給30万円・35歳の会社員(協会けんぽ・全国平均の保険料率、令和8年度)の場合、社会保険料の年間合計はおおむね53万円前後(約529,740円)です。実際の金額は年齢・加入する保険者・都道府県の保険料率によって変わります。

「社会保険料等の金額」の内訳(健康保険料・厚生年金保険料などそれぞれの金額)は、源泉徴収票そのものには内訳の記載がありません。毎月の内訳を確認したい場合は給与明細の見方、保険料率のしくみは社会保険料まとめをご覧ください。

5. 源泉徴収票はいつ使う?

源泉徴収票は、もらってすぐに使わなくても、次のような場面で必要になることがあります。手元に届いたら、なくさないよう保管しておくのがおすすめです。

源泉徴収票を使う主な場面
場面内容
転職先への提出年の途中で転職した場合、前職分の源泉徴収票を転職先に提出すると、転職先の年末調整で前職分とあわせて所得税を精算できます
確定申告医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告をするとき、支払金額・源泉徴収税額などの記入に使います。ふるさと納税と住民税の関係はふるさと納税と住民税で解説しています
ローン・賃貸の収入証明住宅ローンや賃貸契約の審査で、年収を証明する書類として求められることがあります
保育園の手続きなど保育園の入園申込みなど、世帯の収入状況を確認する行政手続きで提出を求められることがあります

紛失した場合や追加で必要になった場合は、勤務先(在職中・退職済みいずれも)に再発行を依頼できるのが一般的です。具体的な依頼方法は勤務先の担当窓口にご確認ください。

6. 手取りは源泉徴収票のどこ?

結論から言うと、手取り額は源泉徴収票に直接載っていません。源泉徴収票に書かれているのは「年収(支払金額)」「所得税(源泉徴収税額)」「社会保険料等の金額」までで、住民税の金額は記載されないためです。

おおよその年間手取りを知りたい場合は、次のように計算します。

源泉徴収票の数字からおおよその手取りを出す式
補足
①支払金額 − 社会保険料等の金額 − ④源泉徴収税額 − 住民税 = おおよその年間手取り住民税は源泉徴収票に載らないため、別途住民税決定通知書などで確認する必要があります

住民税は前年の所得をもとに計算され、源泉徴収票が対象とする年とは別のタイミングで課税されるため、この書類には含まれません。月給や年収から手取りをまとめて試算したい場合は手取り計算機をご利用ください。

7. よくある質問

Q. 支払金額と手取りはなぜ違うのですか?
A. 支払金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」の年収です。ここから社会保険料・所得税・住民税が差し引かれた残りが手取りになるため、支払金額よりも手取りは少なくなります。

Q. 源泉徴収税額が0円なのはなぜですか?
A. 一般的には、所得が少ない場合や、社会保険料控除・扶養控除・基礎控除などの所得控除の合計が大きく、課税所得がほとんど残らない場合に、年間の所得税額が0円になることがあります。個別の事情によって結果は異なるため、詳しい判断は源泉徴収票の各欄や勤務先・税務署にご確認ください。

Q. 住民税はどこに載っていますか?
A. 源泉徴収票には住民税は載っていません。住民税は前年の所得をもとに翌年度課税される税金で、金額は勤務先や自治体から届く「住民税決定通知書」で確認します。くわしくは住民税決定通知書の見方をご覧ください。

ご注意:本ページは源泉徴収票という書類の一般的な見方の解説であり、記載の金額・計算式はすべて概算・代表例です。実際の記載内容や金額、控除の適用可否は、個人の収入・扶養状況・勤務先の処理によって異なります。ご自身の源泉徴収票の記載内容についての個別の見方のご相談には応じられません。具体的な内容は勤務先の給与担当者や税務署・国税庁の案内でご確認ください。当サイトは個別の税務・社会保険のご相談にはお答えできません(運営者情報参照)。