年収の壁は結局いくら?2025年改正後の最新まとめ(103万→160万・106万・130万)

2025年の税制改正で「103万円の壁」が動き、ニュースでは「178万円」「123万円」などいろいろな数字が飛び交いました。結論を先に言うと、所得税がかかり始める壁は160万円に上がり、「178万円」は成立していません。さらに社会保険の106万円の壁は2026年10月に撤廃される予定です。このページでは、確定した数字だけを壁ごとに整理し、早見表にまとめます。

最終更新:2026年6月13日

1. まず結論:壁の早見表(現行と今後の予定)

「年収の壁」とひとことで言っても、税金(所得税・住民税)の壁扶養している人の控除が変わる壁社会保険(社保)の壁の3種類が混ざっています。2025年改正で動いたもの・動かなかったものを1枚にまとめると次のとおりです。

年収の壁・早見表(2025年改正後/給与収入ベース)
壁(給与収入)何が起きる壁か改正後の扱い・今後の予定
100万円前後住民税(所得割)がかかり始める目安非課税限度の引上げで約110万円相当へ。均等割の非課税限度は自治体差あり(要確認)
160万円(旧103万)所得税がかかり始める2025年改正で103万→160万円に上昇(基礎控除+給与所得控除の引上げ)
106万円短時間労働者が自分で社保に加入賃金要件(月8.8万≒年106万)は2026年10月に撤廃予定。以後は週20時間以上等が基準
123万円(旧103万)親・配偶者の扶養控除の対象でいられる上限所得要件48万→58万に緩和(給与103万→123万円
130万円親・配偶者の社保の被扶養者でいられる上限原則維持。19〜22歳は150万円未満に緩和。一時的増収は連続2年まで扶養継続可(事業主証明)
150万円/160万円配偶者特別控除が満額か減り始めるか満額の上限が150万→160万円に。これを超えると控除が段階的に減少
201万円配偶者特別控除が完全に消える維持(給与収入201.6万円で控除ゼロ)

※給与収入ベースの概算です。同じ「103万」でも、所得税の壁(→160万)と扶養控除の壁(→123万)では改正後の行き先が違う点に注意してください。出典は国税庁厚生労働省

2. 税の壁:103万→160万円の正体

これまで「年収103万円を超えると所得税がかかる」と言われてきました。この103万円は基礎控除48万円+給与所得控除の最低額55万円の合計でした。2025年改正で両方が引き上げられ、所得税がかかり始める給与収入は160万円になりました(給与所得控除の最低額65万円+基礎控除95万円=合計所得132万円以下の層)。

基礎控除の額(2025年改正後・合計所得金額別/確定値)
合計所得金額基礎控除の額
132万円以下95万円
132万円超〜336万円以下88万円
336万円超〜489万円以下68万円
489万円超〜655万円以下63万円
655万円超〜2,350万円以下58万円

※基礎控除は所得が高いほど段階的に縮小します(2,350万円超でさらに減額・2,500万円超でゼロ)。上の表はパート・アルバイトで関係しやすい層を中心に抜粋した確定値です(国税庁)。

つまり、給与収入だけで暮らす一定所得以下の方は、65万+95万=160万円までは所得税がかからない計算になります。一方で住民税は所得税より基準が低く、所得割がかかり始める目安は給与収入で約110万円相当に上がりました。住民税の均等割(定額部分)が非課税になる限度額は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村でご確認ください。

3. 扶養“控除”の壁:123万円と19〜22歳の特例

2つめは、あなたを扶養している人(親・配偶者)の税金が変わる壁です。子や配偶者の所得が一定以下なら、扶養している人が扶養控除・配偶者控除を受けられます。この所得要件が48万円→58万円に緩和され、給与収入でいうと103万円→123万円になりました。学生のお子さんがアルバイトする場合などに関係します。

さらに、大学生年代(19〜22歳)には「特定親族特別控除」が新設されました。子の給与収入が123万円を超えても、150万円までは親が満額の控除を受けられ、その後は段階的に減る仕組みです。あわせて、この年代は親の社会保険の被扶養者でいられる収入要件も130万→150万円未満に緩和されました(令和7年10月〜)。学業とアルバイトを両立する学生が働きやすくなるよう配慮された改正です。

配偶者については、配偶者特別控除が満額になる上限が150万→160万円に引き上げられました。160万円を超えると控除が段階的に減り、給与収入201.6万円で消失します。この「201万円の壁」は改正後も維持されています。

4. 社保の壁:106万円(2026年10月撤廃)と130万円

3つめが、手取りに最も影響しやすい社会保険の壁です。ここを超えると自分で健康保険料・厚生年金保険料を払うことになり、手取りがいったん減ります。

106万円の壁 = 2026年10月に撤廃予定

勤務先で一定の条件を満たす短時間労働者は、自分で社会保険に加入します。その条件の1つが「月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円)」でした。この賃金要件は2026年10月に撤廃される予定です(2025年6月13日成立の改正年金法)。撤廃後は「106万円」という線引き自体がなくなり、週の労働時間(おおむね20時間以上)などが加入の基準になります。

あわせて、現在は「従業員51人以上」とされている企業規模の要件も2027年10月から段階的に撤廃されていく予定です。小さな職場で働く方も、要件を満たせば社会保険に入る方向です。

※「106万円」は法律上の固定ラインではなく、月8.8万円という賃金要件を年換算した俗称です。2026年10月以降は、この賃金要件そのものが基準から外れる点が今回の改正のポイントです。

130万円の壁 = 原則維持

親・配偶者の社会保険の被扶養者でいられる収入の上限は、引き続き130万円(一定条件で被扶養者本人が60歳以上・障害者の場合は180万円)が原則です。ここは2025年改正でも基本的に維持されています。ただし、残業などで一時的に130万円を超えた場合は、勤務先(事業主)の証明があれば連続2年まで扶養を継続できる仕組みがあります。継続的な増収ではなく一時的なものに限られる点に注意してください。

5. 「働き損」になる壁・ならない壁

「壁を超えると損をする(=働き損)」という不安をよく聞きますが、壁の種類によって意味がまったく違います。

壁を超えたときの手取りへの影響
超えると…手取りの逆転(崖)
税の壁(103万→160万)所得税が「超えた分」に少しずつかかるだけ起きない(崖ではない)
社保の壁(106万・130万)保険料の負担が一度にまとまって発生起きうる(一時的に手取りが減る)

税の壁は「崖」ではありません。所得税はあくまで控除を超えた部分にだけかかるので、160万円を1円超えても手取りが急に減ることはなく、増えた収入に対して税が緩やかに増えるだけです。「160万を超えたら一気に損」という理解は誤りです。

一方、本当に手取りが逆転しうるのは社会保険の壁(106万・130万)です。被扶養者だった人が自分で保険料を払い始めると、その分だけ手取りが下がるため、超えた直後は「働いたのに手取りが減った」状態になりえます。もっとも、社会保険に入ると将来の年金が増え、傷病手当金などの保障も得られるため、長い目で見た損得は単純ではありません。なお106万円という線引きは2026年10月以降なくなるため、この壁を意識した働き方の調整は今後あまり意味を持たなくなります。

6. よくある誤解:178万円・123万円はどこから?

「壁は178万円になった」→ 成立していません
178万円は国民民主党が主張した数字で、最終的に成立した所得税の壁は160万円です。報道で「178万円」が独り歩きしましたが、法律になった金額ではありません。
「所得税の壁は123万円では?」→ 違います
123万円は扶養控除の所得要件(給与収入)です。所得税がかかり始める壁は160万円。「123万」と「160万」はどちらも旧103万から動いた数字ですが、対象が別の制度なので混同しないようにしましょう。
「壁が上がれば社会保険も気にしなくていい」→ 別問題です
上がったのはの壁です。社会保険の壁(106万・130万)は税とは別の制度で、こちらが手取りには影響しやすい部分です。税と社保は分けて考える必要があります。
「160万円まで完全に税ゼロで働ける」→ 住民税に注意
所得税はかからなくても、住民税は給与収入で約110万円相当からかかり始めます(均等割の非課税限度は自治体差あり)。「160万円まで一切非課税」ではない点に注意してください。
ご注意:本ページは2025年改正後の一般的な制度の解説です。金額はすべて給与収入ベースの概算であり、実際の課税・社会保険の扱いは個々の所得構成・自治体・勤務先の判断によります。「私の場合は扶養に入れますか?」「いくらまで働けますか?」といった個別の税務・社会保険のご相談にはお答えできません(運営者情報参照)。個別のご相談は税理士・社会保険労務士、または勤務先・お住まいの市区町村・加入先の保険者へお願いします。改正内容で「予定」と記したものは今後の運用で変わる可能性があります。