給与天引きはいつ変わる?社会保険料・税金の年間カレンダー
「今月から急に手取りが減った」と感じたとき、その原因はだいたい決まった時期に起きています。社会保険料の料率改定は4月、住民税の切り替えは6月、定時決定にもとづく保険料の反映は9〜10月が中心です。年間でいつ何が変わるのかを一覧にまとめました。個別の等級や金額を確認したいときは標準報酬月額・保険料額早見表もあわせてご覧ください。
最終更新:2026年7月23日
1. 結論:天引きが変わりやすい3つの月
給与から天引きされる社会保険料や税金は、年間を通じて少しずつ改定や切り替えが行われています。なかでも、多くの人の手取りに影響しやすいのは次の3つのタイミングです。
- 4月:料率改定の反映 — 協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率が3月分(4月納付分)から新年度の率に切り替わり、雇用保険料率も4月から新年度分になります。昇給が重なる時期でもあります。
- 6月:住民税の切替 — 前年の所得にもとづく新年度の住民税額が6月分の給与から適用されます。決定通知書もこの時期に届きます(→住民税決定通知書の見方)。
- 9〜10月:定時決定の反映 — 4〜6月の報酬平均で見直された標準報酬月額が、その年の9月分から適用され、天引きは9月または10月支給の給与から変わります。
このほかにも、昇給・降給による随時改定(→月額変更届)のように、個人の給与変動によって上記以外の月に天引き額が変わることもあります。
2. 年間カレンダー(月別一覧)
2026年度(令和8年度)を例に、社会保険料・税金まわりで動きがある月を時系列でまとめました。会社の給与締め・支払いサイクルによって、実際に天引きに反映される月は前後することがあります。
| 月 | 変わるもの | 内容 |
|---|---|---|
| 3月分(4月納付)〜 | 健康保険料率・介護保険料率 | 協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率が年度改定され、3月分(4月納付分)から新しい率が適用されます(→都道府県別の料率) |
| 4月 | 雇用保険料率の切替・昇給 | 雇用保険料率が2026年度分に切り替わります(本人負担は総支給額の約0.5%)。昇給シーズンでもあり、大きく変わると7月分から随時改定の対象になることがあります(→月額変更届・随時改定)。新入社員は初任給から社会保険に加入します |
| 6月 | 住民税の新年度額に切替 | 前年の所得にもとづく新年度の住民税額が6月分の給与から特別徴収されます。決定通知書が会社を通じて届きます(→住民税決定通知書) |
| 6〜7月 | 夏の賞与 | 賞与にも社会保険料がかかります。標準賞与額をもとに控除額が決まります(→賞与の社会保険料) |
| 7月 | 算定基礎届の提出 | 会社が7月1日〜7月10日に算定基礎届を提出し、4〜6月の報酬平均から新しい標準報酬月額を決定します(→算定基礎届とは) |
| 8月1日 | 雇用保険の基本手当日額の改定 | 失業手当(基本手当)の日額の上限・下限が毎年8月1日に改定されます(→失業手当) |
| 2026年8月(予定) | 高額療養費の自己負担限度額の見直し | 高額療養費の自己負担限度額の見直しが予定されています。政省令で内容が確定次第、当サイトも更新します(→高額療養費) |
| 9月分〜 | 定時決定の反映 | 7月に決定した新しい標準報酬月額が9月分の保険料から適用されます。天引きとしては9月または10月支給の給与から変わります(→定時決定の反映時期) |
| 10月 | 最低賃金の改定・106万円の壁の要件撤廃 | 地域別最低賃金が改定されます。また2026年10月からは、短時間労働者の社会保険加入における月8.8万円の賃金要件が撤廃される予定です(→106万円の壁の撤廃) |
| 12月 | 年末調整・冬の賞与 | 所得税の年末調整が行われ、過不足分が12月または1月の給与で精算されます。冬の賞与が支給される会社も多い時期です(→年末調整) |
| 1月 | 源泉徴収票の交付 | 前年分の源泉徴収票が会社から交付されます |
| 2〜3月 | 翌年度の料率公表・確定申告 | 翌年度の協会けんぽ保険料率・子ども・子育て支援金率などが公表されます。個人の確定申告期間もこの時期です |
上記は一般的なスケジュールの目安です。実際の適用月・反映月は、加入する保険者(協会けんぽ・健保組合等)や勤務先の給与計算・締め日の運用によって前後することがあります。
3. 毎月は変わらないもの
すべてが毎月・毎年動くわけではありません。次のようなものは比較的安定しています。
- 厚生年金保険料率は18.3%で固定です。2004年以降の段階的引き上げが完了しており、現在は労使合計18.3%(本人負担は約9.15%)のまま変わっていません。
- 標準報酬月額は原則年1回の見直しです。定時決定(4〜6月平均→9月から)が基本で、給与が大きく変動したときだけ随時改定で年度途中に変わります(→定時決定と随時改定の違い)。
- 子ども・子育て支援金の率は年度単位で見直されます。2026年度は0.23%(労使合計・本人負担約0.115%)で、健康保険料と一体で徴収されます。今後の推移は毎年度公表されます(→今後の推移と使い道)。
4. 自分の天引きが変わったときの確認先
給与明細を見て天引き額が変わっていたときは、まず何月の給与から変わったかを確認すると、原因の見当がつけやすくなります。上のカレンダーと照らし合わせて、4月なら料率改定、6月なら住民税、9〜10月なら定時決定の反映という具合に当たりをつけられます。原因の探し方をまとめた天引きが増えた理由のページもあわせてご確認ください。
より詳しく等級や金額を照合したい場合は、標準報酬月額・保険料額早見表で自分の標準報酬月額から保険料の目安を逆引きできます。それでも原因が分からない場合は、勤務先の人事・労務担当や、加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合)・年金事務所に直接確認するのが確実です。
5. よくある質問
4月に手取りが減ったのはなぜ?
4月は健康保険料率・介護保険料率・雇用保険料率の年度改定が重なる時期で、料率がわずかに上がると天引き額も増えます。あわせて昇給がある場合は、総支給額が増えたことで所得税・社会保険料の金額自体が増えることもあります。原因が料率なのか昇給なのかは、給与明細の支給額欄と控除額欄を両方確認すると切り分けやすくなります。
9月と10月、どちらから変わる?
定時決定にもとづく新しい標準報酬月額は「9月分」の保険料から適用されますが、天引きされる給与としては9月支給分か10月支給分か、会社の控除方式によって異なります。当月分の保険料をその月の給与から控除する「当月控除」の会社では9月支給分から、翌月の給与から控除する「翌月控除」の会社では10月支給分から変わるのが一般的です(→天引きはいつの給与から変わる?)。
毎年このスケジュールは同じ?
おおむね同じ流れが毎年繰り返されます。ただし、健康保険料率・介護保険料率・雇用保険料率・支援金率などの具体的な数値(パーセンテージ)は年度ごとに見直され、毎年度あらためて公表されます。カレンダーの「型」は例年ほぼ共通ですが、「率」は年度ごとに確認が必要です。
- 協会けんぽ「令和8年度の都道府県毎の保険料率」(健康保険料率・介護保険料率の年度改定時期)
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(定時決定・標準報酬月額・算定基礎届のスケジュール)
- 厚生労働省「基本手当日額が変更になります(令和7年8月1日から)」(基本手当日額の毎年8月1日改定)
- 東京都主税局「個人住民税」(前年所得課税・6月〜翌年5月の特別徴収スケジュール)