住民税決定通知書の見方|6月に手取りが変わる理由
毎年6月ごろ、勤め先から「特別徴収税額の決定・変更通知書」という細かい紙が配られます。これは前年のあなたの所得から計算された住民税の通知です。6月の給与明細を見て「あれ、手取りが少し減った?」と感じたら、この通知書がその答え。どこを見ればよいか、なぜ6月に金額が切り替わるのかを、順を追って解説します。
最終更新:2026年6月12日
1. 通知書はいつ・誰から届くのか
正式名称は「給与所得等に係る市区町村民税・都道府県民税(・森林環境税)特別徴収税額の決定(・変更)通知書」です。長いので、本記事では「住民税決定通知書」と呼びます。
住民税は、あなた自身が税額を計算するのではなく、お住まいの市区町村が前年の所得から計算して通知する仕組み(賦課課税方式)です。給与天引き(特別徴収)の人の場合、市区町村は毎年5月31日までに勤務先(特別徴収義務者)へまとめて通知書を送付します。会社はそれを受け取り、従業員用の通知書を本人へ交付します。多くの会社では6月の給与明細と一緒に配られます。
5月31日までに通知という時期は、地方税法第321条の4第2項に基づくものです。会社経由で受け取るタイミングは勤務先により多少前後します。
2. 通知書のどこを見ればよい?(主な記載項目)
細かい数字がびっしり並んでいますが、見るべきポイントは大きく4つの欄に絞れます。下の表で「どこに・何が書いてあるか」を確認してください。
| 欄 | 書かれている内容 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| ① 所得 | 前年(1〜12月)の給与収入と、そこから給与所得控除を引いた「給与所得」 | 源泉徴収票の金額と整合しているか。複数収入があれば合算されているか |
| ② 所得控除 | 基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除など | 年末調整・確定申告で申告した控除がきちんと反映されているか |
| ③ 税額 | 所得割額・均等割額、税額控除(調整控除・住宅ローン控除など)、差引納付額 | この「差引納付額(年税額)」が1年間に天引きされる住民税の合計 |
| ④ 月割額(特別徴収税額) | 6月から翌年5月まで、毎月いくら天引きされるか | 6月分だけ端数調整で他の月と金額が違うことが多い |
「年税額(③の差引納付額)」を12でおおよそ割った額が毎月の天引き額になり、端数は最初の6月分にまとめられます。だから6月だけ少し高く、7月以降は同額、というケースがよくあります。
3. 前年所得に課税・6月〜翌年5月の12回で天引き
住民税の特徴は、前年の所得に対して、翌年に課税される点です。給与天引き(特別徴収)の場合、年税額を6月から翌年5月までの12回に分け、毎月の給与から差し引きます。所得税が「その月の給与」にかかるのとは、タイミングがずれています。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 前年 1月〜12月 | この期間の所得が住民税の計算対象になる |
| 当年 5月31日まで | 市区町村が税額を計算し、勤務先へ通知書を送付 |
| 当年 6月〜翌年 5月 | 年税額を12回に分けて毎月の給与から天引き(6月分は端数調整あり) |
特別徴収では、会社(特別徴収義務者)が従業員の給与から住民税を天引きし、原則として翌月10日までに市区町村へ納入します。ボーナス(賞与)からは住民税は引かれません(年税額を毎月の給与で12分割するため)。賞与から引かれるものはボーナスから引かれるもので解説しています。
4. 所得割10%+均等割の内訳
住民税の年税額は、大きく「所得割」と「均等割」の合計です。通知書の税額欄にもこの2つが分かれて記載されています。
| 区分 | 都道府県 | 市区町村 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 所得割(税率) | 4% | 6% | 10%(所得に応じて) |
| 均等割(定額) | 1,000円 | 3,000円 | 4,000円(所得にかかわらず一律) |
| 森林環境税(国税・併せて徴収) | 一人 年額1,000円 | 1,000円 | |
所得割は所得が多いほど増える部分(標準税率は合計10%)、均等割は所得にかかわらず一律にかかる部分です。これに加えて、2024年度(令和6年度)からは森林環境税(国税・一人年額1,000円)が、個人住民税の均等割と併せて市区町村によって徴収されています。均等割4,000円+森林環境税1,000円で、合計の定額部分はおおむね5,000円になります。
かつて2014〜2023年度(平成26〜令和5年度)は復興特別住民税として均等割が各500円上乗せされ、市区町村3,500円+都道府県1,500円=5,000円でした。この上乗せは2023年度で終了し、2024年度からは均等割が本来の4,000円に戻り、代わりに森林環境税1,000円が課される形に変わっています。負担総額の目安は同じ5,000円程度ですが、名目・内訳が変わっている点に注意してください。実際の均等割額には、自治体独自の超過課税(例:森林・水源環境関連)が上乗せされている場合があります。
5. 新社会人が2年目から手取りが減る理由
「入社1年目は住民税が引かれていなかったのに、2年目の6月から急に手取りが減った」——これは住民税の前年所得への後追い課税が原因で、誰にでも起こる現象です。
住民税は前年の所得に課税されます。新卒で入社した1年目は、前年(学生時代)の所得がほとんどないため、住民税はかからない(または少額)。入社して所得が発生した最初の年の分が、翌年=社会人2年目の6月から課税・天引きされ始めます。だから給与額面が変わっていなくても、2年目の6月以降は住民税のぶん手取りが減って見えるのです。
所得税は1年目から毎月の給与にかかっていますが、住民税は前年所得が基準のため1年遅れて始まります。2年目の6月に手取りが減るのは「給料が下がった」のではなく、住民税の天引きが始まったため、と理解すると安心です。具体的な税額・控除はお手元の決定通知書で確認してください。