高額療養費(高額医療費)はいくら戻る?自己負担の上限 計算機
ひと月(1日〜末日)に支払った医療費が高額になったとき、一定の自己負担限度額を超えた分が「高額療養費」として戻る制度です。所得区分とその月の医療費を入れるだけで、69歳以下の現行ルールでの自己負担の上限と、戻る見込み額を概算します。「手術や入院で窓口負担が大きかった」「いくらまで自分で払うのか知りたい」という方の目安にどうぞ。
最終更新:2026年7月28日
高額療養費 かんたん計算機(69歳以下)
現行(〜2026年7月診療分)の自己負担限度額に基づく概算です。入院時の食費・差額ベッド代・先進医療などは対象外です。実額は加入する保険者の決定によります。2026年8月以降は見直しが予定されています(本文参照)。
高額療養費とは(制度の概要)
高額療養費は、同じ月(毎月1日〜末日)に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定額(自己負担限度額)を超えたとき、超えた分があとから払い戻される、公的医療保険の制度です。会社員の健康保険でも、自営業などの国民健康保険でも、ほぼ共通の仕組みで使えます。
自己負担限度額は年齢(69歳以下か70歳以上か)と所得によって決まります。会社員の健康保険では、所得区分は標準報酬月額で判定され、ア〜オの5区分に分かれます。同じ手術・入院でも、区分が上の(収入が高い)人ほど自己負担の上限は高くなります。
対象になるのは公的医療保険が使われた医療費の自己負担分です。入院時の食事代、差額ベッド代(個室代など)、先進医療の技術料、自由診療などは高額療養費の対象外です。月をまたいだ場合は、月ごとに分けて計算します(同じ入院でも月が変わると合算されません)。
ひと月の上限(現行・69歳以下)区分表
69歳以下の方の、ひと月あたりの自己負担限度額です(現行・平成30年8月診療分〜、2026年7月診療分まで)。「医療費」はその月にかかった総額(10割・保険適用分)を指します。区分ウのように計算式があるものは、医療費が増えるほど上限もわずかに上がります。
| 所得区分(年収のめやす/標準報酬月額) | ひと月の上限額(世帯ごと) | 多数回該当 (4回目から) |
|---|---|---|
| 区分ア:年収 約1,160万円〜(標報83万円以上) | 252,600円+(医療費−842,000円)×1% | 140,100円 |
| 区分イ:年収 約770〜1,160万円(標報53〜79万円) | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% | 93,000円 |
| 区分ウ:年収 約370〜770万円(標報28〜50万円) | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% | 44,400円 |
| 区分エ:〜年収 約370万円(標報26万円以下) | 57,600円(定額) | 44,400円 |
| 区分オ:住民税非課税 | 35,400円(定額) | 24,600円 |
「医療費」は窓口で払った額ではなく、その月の総額(10割)です。窓口で3割を負担した方は「窓口負担÷0.3」でおよその総額が出ます。上の表・計算機は現行(〜2026年7月診療分)の値で、あくまで概算です。実額は加入する保険者の決定によります。
計算例(区分ウ・医療費が100万円のとき):80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%=80,100円+7,330円=87,430円が、その月の自己負担の上限です。窓口で3割の30万円を払っていれば、差額の約21万2,570円が高額療養費として戻る見込みです。
70歳以上の自己負担限度額
70歳以上の方は、69歳以下とは別の区分・限度額になります。外来だけにかかる「外来(個人ごと)」の上限が設けられているのが特徴です。現行(69歳以下と同じ平成30年8月診療分〜の体系)の金額は次のとおりです。
| 区分 | 外来(個人ごと) | ひと月の上限(世帯ごと) |
|---|---|---|
| 現役並みⅢ(標報83万円以上) | 252,600円+(医療費−842,000円)×1%(多数回 140,100円) | |
| 現役並みⅡ(標報53〜79万円) | 167,400円+(医療費−558,000円)×1%(多数回 93,000円) | |
| 現役並みⅠ(標報28〜50万円) | 80,100円+(医療費−267,000円)×1%(多数回 44,400円) | |
| 一般 | 18,000円 (年間上限 144,000円) | 57,600円(多数回 44,400円) |
| 低所得者Ⅱ(住民税非課税) | 8,000円 | 24,600円 |
| 低所得者Ⅰ(非課税・所得が一定以下) | 8,000円 | 15,000円 |
「外来(個人ごと)」は、その人が外来でかかった分だけにかかる上限です。「一般」区分には外来の年間上限(8月〜翌年7月で144,000円)があります。上の計算機は69歳以下向けのため、70歳以上の方はこの表でご確認ください。金額は概算で、実額は加入する保険者の決定によります。75歳以上は後期高齢者医療制度に移りますが、高額療養費の仕組みは同様に使えます。
多数回該当(4回目から上限が下がる)
過去直近12か月の間に、高額療養費の上限に3回以上達した場合、4回目からは上限額がさらに引き下げられます。これを「多数回該当」といいます。長期の治療が続く方の負担を軽くする仕組みです。
たとえば区分ウなら、通常は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」ですが、多数回該当の4回目以降は44,400円(定額)に下がります。上の計算機でも「直近12か月で3回以上、上限に達している」にチェックを入れると、多数回該当の上限額で計算します。
「直近12か月」は暦の12か月をさかのぼって数えます。回数のカウントは保険者が管理しているため、何回目に当たるかの最終判断は加入先の保険者によります。転職などで加入先の保険者が変わると、回数が引き継がれない場合があります。
世帯合算(同じ月・同じ保険でまとめる)
1人・1か所では上限に届かなくても、同じ月に、同じ公的医療保険に加入する家族の自己負担を合算して上限を超えれば、超えた分が高額療養費の対象になります。これを「世帯合算」といいます。
ただし69歳以下の場合、合算できるのは1人1か月あたり21,000円以上の自己負担だけです(21,000円未満の少額の窓口負担は合算に入りません)。また、合算できるのは同一の保険者・同一の月に限られます。たとえば、夫が会社の健康保険、妻が国民健康保険、というように加入先が違う場合は合算できません。
「世帯」は住民票の世帯ではなく、同じ公的医療保険に加入しているまとまりを指します。共働きでそれぞれ別の健康保険に入っている夫婦は、原則として合算できません。70歳以上の方は21,000円の条件なく合算できるなど、扱いが異なります。詳しくは加入先の保険者にご確認ください。
払い戻しと、認定証・マイナ保険証
高額療養費の受け取り方には、大きく2通りあります。
| 方法 | 窓口での支払い | 戻るまで |
|---|---|---|
| あとから払い戻し (事前手続きなし) | いったん全額(3割など)を支払う | 受診の約3か月後に、超過分が口座へ振り込まれる |
| 窓口を上限までに (限度額適用認定証/マイナ保険証) | はじめから自己負担限度額までで済む(現物給付) | 立て替え不要 |
あらかじめ「限度額適用認定証」を保険者に申請して医療機関に提示するか、マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)を使えば、入院・手術などで窓口の支払いをはじめから自己負担限度額までにできます(現物給付)。提示がない場合は、いったん窓口で全額を払い、後日(おおむね受診の約3か月後)に超過分が払い戻されます。
マイナ保険証を使うと、限度額適用認定証がなくても窓口負担を上限までにできる場合が増えています(医療機関の対応状況により異なります)。あとから払い戻しを受ける場合、保険者によっては申請が必要なことも、自動で振り込まれることもあります。手続き・必要書類は加入先の保険者の案内でご確認ください。給与天引きされる健康保険料の内訳は給与明細の見方でも整理しています。
2026年8月・2027年8月の見直し
高額療養費の自己負担限度額は、見直しが予定されています。経緯と現状を正確に整理します。
- 2025年に予定されていた引き上げは、いったん見送りになりました。
- その後、内容がリパッケージされ、「健康保険法等の一部を改正する法律」が2026年5月29日に成立しました(成立済み)。
- これにより、2026年8月に限度額の見直し+年間上限の新設、2027年8月に所得区分のさらなる細分化が予定されています。
上の計算機・区分表はいずれも現行(〜2026年7月診療分)の値です。2026年8月以降の診療分については、確定した新しい限度額が公表され次第、本ページを更新します。
よくある誤解
- 申請しなくても自動でお金が戻りますか?
- 保険者によって異なります。健保組合などでは自動で口座に振り込まれることもありますが、申請が必要な場合もあります。窓口を上限までにしたいときは、事前に限度額適用認定証を用意するか、マイナ保険証を使う方法があります。
- 入院中の食事代や個室代も対象ですか?
- いいえ。入院時の食事代、差額ベッド代(個室代など)、先進医療の技術料、自由診療は高額療養費の対象外です。対象は公的医療保険が使われた医療費の自己負担分のみです。
- 月をまたいで入院すると合算されますか?
- いいえ。高額療養費はその月(1日〜末日)ごとに計算します。同じ入院でも、月が変わるとそれぞれの月で別々に上限を判定するため、月初の入院などでは合算されず損に感じることがあります。
- 家族の医療費は誰のものでも合算できますか?
- 合算できるのは同じ公的医療保険に加入している家族の、同じ月の自己負担です。69歳以下では1人1か月21,000円以上の負担だけが対象です。夫婦で別々の健康保険に入っている場合は原則合算できません。
- 窓口で払った3割が、そのまま戻るのですか?
- いいえ。戻るのは「窓口負担のうち、自己負担限度額を超えた分」です。限度額までは自己負担として残ります。上の計算機では、戻る見込み額のめやすも表示します。
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(000333280.pdf)(69歳以下・70歳以上の自己負担限度額、多数回該当、世帯合算、限度額適用認定証。現行=平成30年8月診療分〜)
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(制度の概要)」(制度の概要・見直しに関する情報)