給料から引かれるお金 全種類まとめ|税金と社会保険料【2026年度】
給与明細の「総支給額」と「手取り(差引支給額)」の差は、ほとんどが社会保険料と税金の天引きです。給料から何が・いくら・いつから引かれるのかを、健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険・所得税・住民税・子ども子育て支援金の7種類すべて、2026年度(令和8年度)の最新の料率で1ページにまとめました。各項目の詳しい計算は専門ページへ進めます。
最終更新:2026年7月28日
天引きとは(読み方・意味・法的ルール)
「天引き」は「てんびき」と読みます。意味は、給与から所定の金額を差し引いて支給することです。労働基準法24条は賃金の全額払いを原則としていますが、天引きはその例外として認められています。具体的には、法令に定めのある社会保険料・税金を差し引く「法定控除」と、労使協定に基づいて組合費・財形貯蓄などを差し引く「協定控除」の2種類があります。次のセクションから、実際にどんな項目がいくら天引きされるのかを具体的に見ていきましょう。
1. まず全体像:天引きは「社会保険料」と「税金」の2グループ
毎月の給与から引かれるものは、大きく次の2グループに分けられます。
- 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料)……会社と本人で負担を分け合う(労使折半。雇用保険のみ折半でない)。
- 税金(所得税・住民税)……全額が本人負担。
さらに2026年4月分からは、健康保険料と一体で子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。それぞれ「何のためのお金か」「料率や決まり方」「本人がいくら負担するか」「いつから引かれるか」が違います。まずは下の一覧表で全体をつかんでください。
※「労使折半」とは、保険料の総額を会社(事業主)と本人(被保険者)が半分ずつ負担すること。料率が「○%」と書かれていても、給与から実際に引かれる本人負担はその半分になる項目が多い点に注意してください。
2. 天引き項目 早見一覧表(2026年度・令和8年度)
会社員(協会けんぽ加入を想定)の給与から天引きされる項目の一覧です。料率はあくまで目安で、実際の額は加入先・お住まいの自治体の決定によります。
| 控除項目 | 何のため | 料率の目安(2026年度) | 本人負担 | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 医療費の自己負担を原則3割にする・傷病手当金など | 全国平均 約9.90%(都道府県別) | 労使折半で 約4.95% |
給与明細の見方 |
| 厚生年金保険料 | 老後の年金・障害年金・遺族年金の財源 | 18.3%(固定) | 労使折半で 9.15% |
厚生年金のしくみ |
| 介護保険料 40〜64歳のみ |
介護サービスの財源(第2号被保険者) | 1.62%(全国一律) | 労使折半で 0.81% |
介護保険料とは |
| 雇用保険料 | 失業給付・育児休業給付などの財源 | 本人 5/1,000 | 0.5% (折半ではない) |
退職と雇用保険 |
| 子ども・子育て 支援金 |
児童手当の拡充などの財源 | 0.23%(労使合計) | 折半で約0.115% 健康保険料に合算 |
推移と使い道 |
| 所得税 | 国の税金(源泉徴収・年末調整で精算) | 5〜45%の累進(課税所得による) | 全額本人 | 給与明細の見方 |
| 住民税 | 都道府県・市区町村の税金 | 所得割10%+均等割等 | 全額本人 前年所得で決定 |
住民税の通知書 |
※健康保険料は加入する保険者(協会けんぽ/健保組合)と都道府県で異なります。協会けんぽの令和8年度(2026年度)全国平均は約9.90%(前年度10.00%から引き下げ)。厚生年金・介護・雇用・支援金の料率は2026年度の確定値・固定値です。所得税・住民税は所得や扶養人数で大きく変わります。実額は加入先・自治体の決定通知でご確認ください。
3. 社会保険料(4つ)の中身
① 健康保険料 — 医療費を原則3割負担にするためのお金
病院の窓口負担を原則3割に抑えたり、病気やケガで働けないときの傷病手当金・出産手当金を支える保険です。料率は加入先と都道府県で異なり、協会けんぽの2026年度(令和8年度)全国平均は約9.90%(労使折半なので本人負担は約4.95%が目安)。新潟県が最も低く9.21%、佐賀県が最も高く10.55%など、都道府県で差があります。健保組合に加入している場合は組合ごとに別の料率です。
- 折半か全額か:労使折半(会社と本人で半分ずつ)。
- 決まり方:標準報酬月額 × 健康保険料率。標準報酬月額は4〜6月の報酬の平均で決まる(標準報酬月額の調べ方)。
- いつから:令和8年度の新料率は令和8年3月分(4月納付分)から適用。
※標準報酬月額は健康保険では全50等級(協会けんぽ等)。実際の保険料額は加入先が公表する「標準報酬月額・保険料月額表」で確認できます。
② 厚生年金保険料 — 老後・万一に備える年金のお金
老齢厚生年金(老後)だけでなく、障害厚生年金・遺族厚生年金の財源にもなります。料率は平成29年9月を最後に引き上げが終了し、18.3%で固定。労使折半なので本人負担は9.15%です。年度に関係なく現行は固定値です。
- 折半か全額か:労使折半。
- 決まり方:標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2。標準報酬月額は厚生年金では全32等級(下限8万8,000円〜上限65万円)。
- いつから:料率は固定のため変更なし。標準報酬月額は毎年9月分から翌年8月分まで適用(定時決定)。
※厚生年金の標準報酬月額の上限は現在65万円(第32等級)ですが、2027年度から段階的に最高75万円まで引き上げられることが決定済みです(〜2026年度は65万円のまま)。等級表のしくみは厚生年金のページで解説しています。
③ 介護保険料 — 40歳になると加わる天引き
介護が必要になったときのサービス費用を社会全体で支える保険です。給与天引きの介護保険料(第2号被保険者分)が課されるのは40歳から64歳までの方。協会けんぽの2026年度(令和8年度)料率は1.62%(全国一律)で、前年度1.59%から0.03ポイント引き上げられました。労使折半なので本人負担は0.81%です。
- 折半か全額か:労使折半。
- 決まり方:標準報酬月額 × 1.62% ÷ 2。健康保険料と合わせて天引きされます。
- いつから:満40歳に達した月(法律上は誕生日の前日が属する月。1日生まれの方は前月)から徴収開始。65歳になると第2号被保険者を外れ、給与天引きの介護保険料は終了します(以後は第1号被保険者として原則年金天引き等で市区町村に納付)。
※令和8年度の介護保険料率の適用開始は令和8年3月分(4月納付分)から。40歳から始まる仕組みや月給別の早見表は介護保険料のページを参照してください。
④ 雇用保険料 — 失業・育休に備えるお金(折半ではない)
失業したときの基本手当(失業給付)や、育児休業給付・教育訓練給付などの財源です。他の社会保険料と違い労使折半ではありません。2026年度(令和8年度)の本人(被保険者)負担は5/1,000=0.5%(一般の事業)で、前年度0.55%から引き下げられました。事業主はこれに「雇用保険二事業」分を加えて負担します。
- 折半か全額か:折半ではない。本人0.5%、事業主0.85%(うち失業等給付分0.5%+二事業分0.35%)。一般の事業の合計率は1.35%。
- 決まり方:その月の給与・賞与の総額(標準報酬月額ではなく実際の支給額)× 本人負担率0.5%。残業代や手当が増えればその月の雇用保険料も増えます。
- いつから:令和8年度の料率は令和8年4月1日〜令和9年3月31日に適用。
※給与天引きで本人が負担するのは「失業等給付等」分のみで、「雇用保険二事業」分は事業主のみの負担です。退職後の失業給付や、退職時の社会保険の手続きは退職と保険のページで解説しています。
4. 税金(2つ)の中身
給料から引かれる税金は所得税と住民税の2種類です。
⑤ 所得税 — 毎月は概算、年末調整で精算
その年の所得にかかる国の税金です。給与からは「源泉徴収」として毎月おおよその額が天引きされ、1年分の正しい税額は年末調整(または確定申告)で精算します。税率は課税所得に応じて5%〜45%の累進です。毎月の天引き額は「源泉徴収税額表」を使い、その月の社会保険料控除後の給与額と扶養親族等の数で決まります。
- 折半か全額か:全額本人負担。
- 決まり方:毎月は源泉徴収税額表で概算→年末調整で確定。生命保険料控除や扶養控除などで最終的な税額は変わります。
- いつから:給与の支給ごとに毎月。年末(12月)に年末調整で過不足を精算。
※令和8年分(2026年)の源泉徴収税額表は、令和7年度税制改正で税額や扶養親族等の数の算定方法が変更されています。明細での所得税の見え方は給与明細の見方で確認できます。
⑥ 住民税 — 前年の所得にかかり、6月から翌年5月の12回
お住まいの都道府県・市区町村に納める税金です。最大の特徴は「前年(1〜12月)の所得」に対して課税されること。会社員は会社が給与から天引きして納める「特別徴収」となり、6月から翌年5月までの毎月の給与から12回に分けて引かれます。
| 区分 | 都道府県民税 | 市区町村民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 所得割 | 4% | 6% | 10% |
| 均等割 | 1,000円 | 3,000円 | 4,000円 |
| 森林環境税(国税) | 一人年額1,000円(2024年度〜) | 1,000円 | |
- 折半か全額か:全額本人負担。
- 決まり方:前年所得 × 所得割10% + 均等割(標準4,000円)+ 森林環境税1,000円。自治体によって超過課税の上乗せがある場合があります。
- いつから:6月〜翌年5月の12回。6月分だけ端数調整で他の月と額が異なることがあります。
※均等割は2014〜2023年度に復興特別分(各500円)が上乗せされていましたが2023年度で終了し、2024年度(令和6年度)からは均等割4,000円+森林環境税1,000円=合計5,000円という内訳に変わりました(負担総額は実質的に同じ)。新社会人で2年目の6月から手取りが減る理由や、決定通知書の見方は住民税決定通知書のページで詳しく解説しています。
5. 子ども・子育て支援金 — 2026年4月分から始まった新しい天引き
児童手当の拡充などの財源として、2026年4月分の保険料から徴収が始まりました。健康保険料と一体で徴収されるため、給与明細に「支援金」という独立項目がないことも多く、健康保険料に合算されているのが一般的です。2026年度の料率は0.23%(労使合計)で、労使折半のため本人負担は約0.115%。料率は2027年度・2028年度と段階的に引き上げられる予定です。
- 折半か全額か:労使折半(健康保険料と同じ扱い)。
- 決まり方:標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2(被用者保険の場合)。賞与からも同率で引かれます。
- いつから:2026年4月分から。翌月徴収の会社では2026年5月支給の給与から。
※支援金は俗に「独身税」と呼ばれることがありますが、独身者だけにかかる税ではありません(誤解の検証は「独身税」とはのページ)。月給・賞与での負担額は支援金かんたん計算機で確認できます。
6. ボーナス(賞与)の天引きはどう違う?
賞与からも社会保険料と所得税は引かれますが、住民税だけは賞与から引かれません。住民税は前年所得で年税額が確定し、それを毎月の給与で12分割しているため、賞与は対象外です。
| 項目 | 毎月の給与 | ボーナス(賞与) |
|---|---|---|
| 健康保険料・厚生年金・介護保険料 | 引かれる | 引かれる |
| 雇用保険料 | 引かれる | 引かれる |
| 子ども・子育て支援金 | 引かれる | 引かれる |
| 所得税 | 引かれる | 引かれる |
| 住民税 | 引かれる | 引かれない |
賞与の社会保険料は、賞与額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に料率を掛けて計算します。上限があり、健康保険は年度(4/1〜翌3/31)の累計573万円、厚生年金は1か月あたり150万円まで。賞与の所得税(源泉徴収)の税率は、賞与額そのものではなく「前月の給与(社会保険料控除後)」と「扶養親族等の数」で決まるのが特徴です。
※令和8年分(2026年)の賞与の源泉徴収税額表は令和7年度税制改正で変更されています。最新の率は国税庁の表で確認してください。賞与の天引きの詳しい計算はボーナスから引かれるお金のページで解説しています。
7. 年齢で変わる天引き(40歳・65歳・新社会人)
天引きは年齢によっても変わります。主な節目は次のとおりです。
- 新社会人(社会人2年目の6月〜):住民税は前年所得にかかるため、入社1年目はほぼ非課税。2年目の6月から住民税の天引きが本格的に始まり、手取りが減ったように感じます。
- 40歳になった月から:介護保険料(第2号被保険者分)が新たに加わります。健康保険料に上乗せされる形で天引きが増えます。
- 65歳になると:給与天引きの介護保険料(第2号)は終了。以後は第1号被保険者として、原則は年金からの天引き等で市区町村に納める形に変わります。
「4〜6月に残業すると標準報酬月額が上がって社保が高くなり損」という話は半分正しく半分不正確です。残業代の増加で本来の等級より上の等級に押し上げられた場合に限り、その高い標準報酬月額が9月以降1年間適用されて保険料が増えます。範囲内に収まれば等級は変わらず損は生じません。また、保険料を多く払えば将来の年金額や傷病手当金などの給付も増えるため、短期の手取り減と長期の給付増はトレードオフです。
※標準報酬月額は固定的賃金(基本給など)が変動して2等級以上動いた場合などに随時改定されますが、残業代(非固定的賃金)の増減だけでは随時改定は起きません。等級と保険料の関係は標準報酬月額のページで確認できます。