住民税が給与から引かれていない?考えられる5つの理由
給与明細を見たら住民税の欄が0円だったり、そもそも項目が空欄になっていたりして、「これは間違いでは」と不安になった方へ。住民税が給与から引かれていない状態は、実は多くの場合「正常」です。新社会人1年目や前年の所得が少ない場合など、考えられる理由を一つずつ確認していきましょう。
最終更新:2026年7月28日
1. まず結論:多くは「正常」です(理由5つ一覧)
住民税が給与から引かれていない、あるいは金額が0円になっているのは、多くの場合、税金の計算ミスや会社の手続き漏れではなく、住民税という税金の仕組みそのものによるものです。考えられる主な理由は次の5つです。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| ① 新社会人1年目 | 住民税は前年の所得に対して課税されるため、働き始めた年(1年目)は原則としてかかりません。天引きは2年目の6月から始まります。 |
| ② 前年の所得が少ない | 前年の所得が一定額以下だと住民税は非課税になります。単身の場合、給与収入がおおむね年間110万円以下であれば非課税となる目安があります。 |
| ③ 普通徴収になっている | 給与天引き(特別徴収)ではなく、自分で納付書を使って納める「普通徴収」になっている場合があります。転職直後や入社時期によっては起こり得ます。 |
| ④ 特別徴収への切替手続き中 | 入社後、会社が特別徴収への切替手続きを進めている途中では、切替が完了するまで普通徴収のままになっていることがあります。 |
| ⑤ 6月の切替タイミング | 住民税は6月分から新しい年度の税額に切り替わります。5月までとは金額が変わったり、条件によっては0円になったりする場合があります。 |
この5つのいずれかに当てはまれば、基本的に心配はいりません。共通しているのは、住民税が「前年の所得に対して、翌年に課税される」という後払いのような仕組みを持つ税金だという点です。所得税のようにその月の給与から即座に天引きされるわけではないため、入社のタイミングや前年の働き方によって、天引きが始まる時期に人ごとの差が出やすいのです。次の章から、それぞれの理由をもう少し詳しく見ていきます。
2. 新社会人はいつから引かれる?
新社会人がもっとも戸惑いやすいのが、このパターンです。住民税は前年(1〜12月)の所得に対して翌年に課税される仕組みになっています。新卒で入社した1年目は、前年つまり学生時代の所得がほとんどないため、住民税はかからない(または少額で済む)のが一般的です。
そして、社会人になって得た所得への住民税は、翌年=社会人2年目の6月から天引きが始まります。「1年目は引かれていなかったのに、2年目の6月から急に手取りが減った」という現象は、多くの新社会人が経験するもので、給料が下がったわけではなく、住民税の天引きが始まったことが原因です。
| 時期 | 住民税の状況 |
|---|---|
| 1年目 4月:入社 | 前年(学生時代)の所得がほぼないため、住民税は原則かからない |
| 1年目 5月〜12月 | 引き続き住民税の天引きなし(給与明細は0円・空欄が続く) |
| 2年目 5月まで | 1年目と同様、住民税の天引きなし |
| 2年目 6月〜 | 1年目の所得に対する住民税の特別徴収(給与天引き)が開始 |
所得税は1年目の給与から毎月引かれますが、住民税は前年所得が基準のため1年遅れて始まります。通知書の詳しい見方は住民税決定通知書の見方で解説しています。
3. 普通徴収と特別徴収の違い
住民税の納め方には、大きく分けて2つの方式があります。
| 方式 | 納め方 | 主なケース |
|---|---|---|
| 特別徴収 | 勤務先が毎月の給与から天引きし、まとめて市区町村へ納付 | 会社員・公務員などの給与所得者が原則 |
| 普通徴収 | 市区町村から届く納付書で、自分で金融機関等から納付 | 個人事業主、退職直後、特別徴収への切替が済んでいない人など |
会社員であっても、転職直後や入社のタイミングによっては、前の勤務先や市区町村での手続きの都合上、一時的に普通徴収のまま(自宅に納付書が届く状態)になっていることがあります。この場合、給与明細の住民税欄は0円や空欄になります。
自分がどちらの方式になっているかは、次の方法で確認できます。
- 給与明細に住民税(市町村民税・県民税など)の天引き項目があるかどうか
- 自宅に市区町村から住民税の納付書が届いていないか
- 毎年6月ごろに会社経由・自宅宛てで届く「住民税決定通知書」の内容(通知書の見方はこちら)
4. 放置していい?確認したほうがいい?
上で挙げた5つの理由(新社会人1年目、前年所得が少ない、普通徴収、切替手続き中、6月の切替タイミング)のいずれかに当てはまる場合は、住民税が引かれていないのは正常な状態であり、特に対応は必要ありません。
一方で、次のようなケースでは念のため確認しておくと安心です。
- 自宅に住民税の納付書が届いているのに支払いをしていない場合 納付が遅れると延滞金が発生する可能性があります(一般論であり、具体的な取り扱いは自治体により異なります)。心当たりがある場合は、お住まいの市区町村の税務担当窓口へ早めにご確認ください。
- 特別徴収になっているはずなのに、いつまでも天引きが始まらない場合 会社側の手続きが完了していない可能性があります。不安な場合は、勤務先の給与・労務担当に確認するとよいでしょう。
いずれの場合も、個別の税額や手続き状況の判断は、お住まいの市区町村または勤務先にご確認いただくのが確実です。「自分は5つの理由のどれに当てはまるか分からない」というときも、まずは給与明細と住民税決定通知書を見比べ、次に勤務先の給与担当へ聞いてみるという順番であれば、大きく困ることは少ないはずです。
5. よくある質問
アルバイトでも住民税は引かれる?
前年の所得額しだいです。単身の目安として、給与収入が年間約110万円以下であれば住民税が非課税になることが多く、その場合は引かれません。また、アルバイト・パートは特別徴収(給与天引き)の対象になっていないケースも多く、前年所得があっても自分で納付書払い(普通徴収)になることがあります。
引かれていない分はあとでまとめて来る?
前年に一定以上の所得があれば、天引きされていない住民税は市区町村から送られる納付書(普通徴収)でまとめて請求されるのが一般的です。時期や回数は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください(一般論です)。
退職したら住民税はどうなる?
退職の時期によって、残っている住民税額を最後の給与や退職金から一括で徴収される場合と、退職後は普通徴収(自分で納付書払い)に切り替わる場合があります。一般的な取り扱いのため、詳細は勤務先やお住まいの市区町村にご確認ください。退職後の社会保険料については退職後の保険料もあわせてご覧ください。